何故これ程までに苛立つのだ。この男を見ていると。
取り乱すまいと思い、挑むように彼を振り返り、睨み付けた。
「言った筈だ――――あたしは馴れ合うつもりなどないと」
「仲間が仲間の心配をするのがそんなに不自然な事とは思えんが」
そのしれっとした口調が更に女を苛立たせる。
「――――あたしは、構うなと言っている」
そう言うと、男は腕を組み、考えてみせる仕種をした。やがて、ぽつりと。
「……それは、困る」
「何故オマエが困るッ!!!」
目の前に机でもあったなら拳で叩き割っていた事だろう。
「理由を言ってみろ、理由を!あたしの納得のいく理由をな!!」
「それを示せば多少は構っても許される、という事か?」
「……あくまで考えてやる、という意味だからな」
「そうか、分かった」
次の、瞬間。


※※※※※


「……何か、問題があるか?」
「………ッ……大アリだ、莫迦!!!」
吐き捨てるように言った刹那胸に込み上げた熱いものを、
これ程までに心を乱されるその理由を、
素直に認める程に、彼女は強くはなかった。


















御愁傷様でした。
(隠すだけの分別はあったらしい)
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