あてんしょん! この話には(ある意味)残酷な表現が含まれております
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いざ、倒錯の世界へ…
昔々、フォルセナという国にロキという名の貴族がいました。彼には自慢の妻・シモーヌがおり、シモーヌとの間には長女・デュラン、次女・ウェンディを授かりました。
美しい妻と可愛い娘2人に囲まれ、ロキは幸せで一杯でした。しかし、その幸せは長い間続くと思われましたが、まだウェンディが2歳にも満たない内にシモーヌは病気で死んでしまいました。ロキは大変嘆き悲しみましたが、まだ幼い子供達を思い、再婚する事にしました。
再婚相手はアンジェラという名前の未亡人でした。彼女は前の旦那・美獣との間に二人の子を設けておりました。実の父親に似た上の女の子はホークアイ、(ある意味)母親に似た下の女の子はケヴィンと言いました。
継母にあたるアンジェラはとても優しく、デュラン達を実の子と分け隔てなく接してくれます。周りからも褒められる自慢の奥さんでした。
ある日、フォルセナにドラゴンが攻めてきました。ロキにも徴集礼状が届きます。愛しい子供達を置いていくのは後ろ髪を引かれる思いです。しかし、アンジェラがいるのでロキは安心して子供達を任せました。けれど、それは父・ロキが戦死した為に崩れ去っていきました。継母達は急にきつくあたるようになったのです。
「デュラン!ここ解れてんだけど。いい加減な仕事するとイビルゲートで地獄に落とすわよ」
「デュラン!俺のドレス仕立て直してくれた?え…?できてない?そんな役立たずはブラックレインで溶かしてやろうか?」
「デュラン、ごめん。ドア壊した」
「デュラ〜ン、私にこんな不味いお茶を出すなんて良い度胸ね。エインシャントで跡形もなく消してあげるわ…!」
「ちょっと、デュラン! デリケート(?)な俺にこんな焦げたモノ出すなんてひどいな。あんまり悲しいから手裏剣の的にしよっかなぁ〜」
「デュラン、今日のおやつ、何?」
「デュラン」
「デュラン」
「デュラン」
・
・
・
ぷちっ (何かが切れた音)
「うるせーーーーーーーーー!!」
俺は夕日に向かって吼えた。俺は召使いじゃねーーー!
ぜいぜい…
すーはーすーはー(深呼吸する音)
…よう、俺の名はデュラン。
意地悪な継母共に苛められる悲劇のヒロインだ。
あ?こんなごついヒロインいてたまっか?
うっせーな。俺だって好きでやってる訳じゃねーよ。
「お兄…じゃなかった、お姉ちゃーん!」
俺の実の妹ウェンディが駆け寄ってきた。
着ている服は俺と同じく薄汚ぇ。ちぇ、あいつらはいいモン着てんのによぉ。
俺はつい舌打ちしちまった。
それを見たウェンディが少し沈んだが、何かを思い出したのか満面の笑みで俺を見上げた。
「お姉ちゃん、もう暫くの辛抱だよ。今度のマナの祝日に英雄王様主催の舞踏会があるんだって!お姉ちゃん綺麗だから(妹の欲目)、そこに出れば王子様に見初められて玉の輿に乗っちゃうよ!!」
何といい妹なんだ!
俺は女神様に王子様とやらを力ずくでも落とす事を誓った。
このブレイブブレードに懸けて!!
妹と手を繋ぎ、意気揚々と家に帰ると慌ただしかった。どうも舞踏会の準備らしい。
「デュラン、ドレスの用意はできてるわよねぇ…?」
「あ? これか?」
「そう! それよ!! これでうちの子達が王子様を落としてくれたら私は安泰よ〜♪」
アンジェラがスキップして去っていく…不気味だ。
「何か言った…?」
「い、いえ、何も!!」
「それならいいんだけど。ちゃんとマナの祝日までに終わらせなさいよ」
…地獄耳。
俺は頭をかきむしって、この抑えようのない気持ちを発散させた。
だが、マナの休日が来ればこんな生活ともおさらばだ。絶対におさらばしてやる。
そう思うと仕事が進んだ。
フ、俺の仕事は完璧だった。文句のつけようがないからアンジェラ達が残念そうにしていた。今の俺は魔法詠唱中の無敵状態(その時回復すりゃあ死なねーってヤツ)だった。
そして、待ちに待った舞踏会のあるマナの祝日。
俺はいそいそとお城へ行く用意をしようと…した。
「アンタは家で豆一族を鳩(ヌヴェル)と一緒に数えてなさい。それ終わるまで家出るな」
あのババァ、俺の幸せを壊す気でいるらしい。
しかし、俺はあきらめねぇ!
ヌヴェルを使わず、神技で豆一族を籠の中に放り込むと俺は肩を叩いた。ふ〜、すばしっこい奴らだったぜ。
…それにしてもこんなナマモノ手に入れてくるアンジェラの奴、何モンなんだ?50匹も放ちやがって。
舞踏会へ着ていく服を選ぼうと鼻歌を歌いながら自分の部屋に戻った。
そして俺はクローゼットを開けて絶句した。
俺の服がねぇぇぇぇっ!
あ、あのアマ、俺のドレス(英雄の鎧、英雄の王冠、戦王の紋章、聖なる盾)どっかに隠してやがる! チッ、どうすりゃいいんだ?!
その時、外から俺を呼ぶ声がした。何だぁ〜?
「ワタクシがお城に連れて行って上げますヨ」
げげ! その声は…
「死を喰らう男!」
俺は腰に提げていたブレイブブレードを構えた(剣は常に身に着けておくのが騎士ってもんだろ?)。
「アワワ、ワタクシは今回“良い魔法使い”ですヨ!アナタお城行きたいんでショ?ワタクシが連れて行って差し上げますヨ!」
半信半疑で剣を降ろした。ホントかよ…? つーか、自分で“良い魔法使い”言うか?
しかしコイツに頼らなければ話は進まねぇからな、大人しく従ってやら…
「これが服ですヨ!」
渡されたのはミエインのドレスにブラッディマスク、戦魔の首輪…滅茶苦茶だな、オイ!
仕方なくそれに着替えた。
「赤が良くお似合いですネ」
わざとらしく死を喰らう男が褒め称える。お世辞はいらねーつーの。
「サア、お姫サマ!カボチャの馬車に乗って行ってらっしゃイ!!」
ミスポルムの馬車…。ちなみにフレイアがソレを引くらしい…。
木の神獣使うなよ。召喚獣もな。
ため息一つ漏らす。しゃーねーからミスポルムの口の中に入った(喰われねぇだろうな…?)。ビルとベンがフレイアに鞭を振るう。と、いきなり猛スピードで馬車が進む。すげーGだぜ!
「それじゃあ、ワタクシはこれで」
おいこら、逃げるな。
俺の心の叫びを無視して馬車はフォルセナ城前まで着いた。
城を見つめる俺をミスポルムがプッと吐き出した。
俺はスイカの種か!
不満は色々あったが、玉の輿が先だ。
とりあえず体中を叩いて埃を落とし、城のダンスホールを目指した。
「そこの変態!止まりなさい!」
ここには変態がいるのかよ。あっぶねーな。ここの警備はどうなってんだ?
「赤いドレス着た変態!止まれっつっとろうが!!」
ここの門番が俺の肩を掴んだ。
俺の身体を引きずっていく。
変態って俺の事か…?
俺は小1時間捕まっていたが、ブレイブブレードの鞘で門番の腹を突き、悶えている所を気絶させた後、樽に詰めて転がした。許せ、ブルーザー(名札にそう書いてあった)。お前の犠牲は忘れない…
「さ、王子様探さねーと」
俺はスキップでスカートを翻し、獲物…もとい王子様を探した。
−−−−捜索中−−−−
お!金髪で赤いマントを靡かせるあの男は王子様に違いねー!マントに“王子様その1・紅蓮君”って書いてあるしな!
俺は確信を持って近づくとそこには…
「アンジェラ…!」
何とそこには継母がいやがった。しかも王子様とイチャついてやがる。
しかも王子様はどこかで見た顔…どこかで…
あ゛!
思い出したぞ!
忘れもしねぇ(↑今、思い出したじゃねーかっていうツッコミなし…な?)、オヤジが死んだと知らせを受け、モールベアの高原で落ち込んでいた俺の傍らに立ち、話を聞いてくれた野郎だ!
あの時の俺は純粋で、黙って聞いてくれた事が嬉しくて、涙を拭き、顔を上げたら…
「ならば、安らかに死なせてやろう…私からの餞だ」
その言葉と共にファイアボール放ちやがった!
あの時のとんでもねー奴!!
何で“死なせてやろう”と続くんだ!
どうやったら感動的なそこで魔法弾放つんだ!!
…アイツ、ぜってー変だ。
アイツはやめだ。王子様は“その1”がいるなら“その2”もいるだろ…確か3人いるって話だ。そいつにしよう。
俺は左手に拳をぶつけ気合いを入れると俺の王子様を探し始めた。
−−−−捜索中−−−−
流れるようなブロンド。サファイアのような瞳。あれこそ王子様に違いない!
第2王子は槍の使い手で、親を敬い、兄を立てて弟を慈しむ素晴らしい人物と評判だ。見た感じ優男だが、隙を感じさせない。なかなかの腕前のようだ。持っている槍がフォルセナの紋章を宿しているし、絶対第2王子だ! これは一丁、声かけますか!
「王子…」
俺は声をかけるのを止めた。ベランダの手すりに掴まり、星を眺める素敵な王子様の側には小憎たらしいホークアイがいた。
「リース王子…幾千万の星の下で貴女に会えた奇跡…」
「ホークアイ…」
王子様!アンタ騙されてるよ。
ホークアイの歯が浮くセリフに総毛立ってきた俺は、腕をさすりながら逃げるようにその場から去った。やってらんねーよ。
最後の王子様に期待をかけよ…
−−−−捜索中−−−−
太陽の日射しのような髪がふわふわしてる。海の色をした大きな目がくりくりしてる。将来は美人になるだろう。
最後の王子様はいまだ幼いが、王妃・ヴァルダに似たのか高い魔力を秘めていて、研けば輝く原石。しかも可愛いらしい。その愛らしい姿にフォルセナ中の女の子が母性本能を擽られるそうだ。癒し系か?
ま、このお子様がその最後の王子様なんだろう。服のアップリケがフォルセナ紋章なんだもん。
でもってやっぱり誰か側にいた。…ケヴィンだ。
「ケヴィンしゃん…シャルロットは子供で、男(?)としてまだまだでち。だけど約束しまち。ケヴィンしゃんを守るって…!」
ケヴィンが上目遣いでシャルロットを覗き込んだ。
「シャルロット…オイラでいいのか?」
頷く王子。青春だな…
「オイラ、嬉しい!」
ケヴィンがシャルロットを抱き締めた。
美しい光景だとは思うんだが…
「ぐえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」(←悲鳴)
シャルロットの断末魔。骨の軋む音。ホール中に響く悲鳴。
…、馬鹿力。
ありゃあ、シャルロットが守んなくてもいいだろ…
何だかやる気が失せちまった俺は、悲鳴をBGMに家へと帰った。
いいんだ、俺にはウェンディがいるさ。
「お帰り、お姉ちゃん。どうだった?」
「……。すまん、ウェンディ」
ウェンディが首を横に振った。
「お姉ちゃんが頑張ってるの、ウェンディ知ってるもん!お姉ちゃん、次があるわ!」
くぅ、可愛い事言ってくれるぜ! これからもこの妹を大事にしよう。
死んだ両親に誓っていると誰かが玄関をノックする音が聞こえた。
アンジェラ達じゃねーよな? あいつらそんな特殊な事しねーし。
「どなたさま?」
玄関を開ける。金髪ロン毛のにーちゃんと、銀髪の神官が、いかにも甘やかされて育ちましたみたいな金髪の坊やを連れて立っていた。
にーちゃんと、神官の間で子供が二人と手を繋ぎ微笑みあってる様は幸せ家族だ。
「俺、神様信じてないから」
扉を閉じようとすると金髪がねばった。
「待ってくれ!宗教の勧誘じゃない。君はデュランちゃんだね?」
「え、まあ、そうだが」
「君達に話があって来たんだ」
話?何で俺の名前知ってんだ?
訝しげに見る俺に神官がまっすぐな視線を向けた。
「そうです。宗教じゃないです。イーグルの話を聞いて下さい」
「お父様とお母様の話を聞いて!」
3人に迫られて仕方なく聞く事にした。
「俺の名はイーグル。こいつは俺の妻でヒース」
神官が頭を下げる。
「この子が息子のエリオット」
ガキが胸を張った。
「俺はデュランちゃん達のご両親、シモーヌとロキの古い友人でね、お互い子供ができたら結婚させようと約束していて…」
「へ?」
オヤジ共、勝手に約束すんな。子供の人権守れ。
子供は大人の道具じゃねーっつーのっ!
家と家を繋ぐ手段でもなければ、意思のねぇ人形でもないぜ!
全く悪い大人達だぜ。勝手に決めやがって!
ブツブツ……
「…それで、最近までゴタゴタがあってね、やっと迎えに来れたんだよ」
おっと、人権考えていたら話が進んでたぜ。
「…それで?」
「デュランちゃんはしっかりしてるし、もうお年頃だろうからね、それにエリオットとはかなり年が離れているだろ? だからウェンディちゃんをいずれはエリオットの…と思って引き取りに来たよ」
ナヌ?
「ウェンディちゃん、いいかい?」
「はい!」
「ちょっと待…っ!」
「お姉ちゃん、ウェンディは幸せになります」
「ウェンディちゃんの事は俺達夫婦に任せてくれないか?」
待て、こら。
「じゃあ、ウェンディちゃん。明日迎えに来る事になるけど…いいかな?」
「はい!」
「ヒース、帰るぞ」
「はい、あなた」
「じゃあ、デュランちゃん」
「お姉ちゃん、バイバーイ!」
幸せ家族が去っていく。
「お姉ちゃん、私幸せになるから。お姉ちゃんも幸せになってね」
ウェンディが涙目で自分の部屋へと去っていく。
残された俺は茫然として一夜を明かした
ガタッ!ゴトッ!
何の音だ? 寝ぼけ眼で起き上がると、音のする方へ向かった。
アンジェラ達が家具やら何やら動かす指示を出している。
アンジェラが俺に微笑んだ。
明日は槍が降るかも知れない。
「デュラン、私達はお城に行って幸せになるの。アンタも元気でいなさいね」
これは槍どころでは済まされないかも知れない。
「あ、ああ、幸せにな」
どうも、ホークアイやケヴィンも出て行くようだ。
「デュラン、元気でな〜♪」
「デュラン、今までありがと!」
挨拶をしに来た二人を見て愕然とした。
正しくはケヴィンを見て。
「ケ、ケヴィン!その腹…!!」
どう見ても臨月間近。
おかしい。昨日までは見事な腹筋だったのだが…
ケヴィンは愛おしそうにお腹を撫でた。顔つきはもう母親のソレである。
「シャルロット王子…」
それきり頬を染めて何も言わなかった。
黙るんじゃねーーー!!
気になるじゃねーか! 昨日何があったんだーーーーー!!
それにしても恐るべし、シャルロット王子…
あんま考えすぎるとノイローゼになりそうだからケヴィンの事は放って置くか。
それで俺はホークアイを見た。
「俺は腹膨れないぞ?」
期待してねーよ。
何だかんだあってアンジェラ達がお城に向けて出発した。
ふ〜、やっと肩の荷が下りたぜ。
外に出て背伸びをしていたら昨日の幸せ夫婦がやって来た。ガキも勿論いる。
「ウェンディちゃんは準備を終えましたか?」
奥さん神官が訊いてきた。俺に訊かれてもな…
ちょうどウェンディが出てきた。
「じゃあ、ウェンディちゃん、もう用意はすんでいるかい?」
「はい…」
ウェンディは俺を見つめていた。
俺はウェンディの頭を撫でた。涙が零れないように空を見ながら。
「お姉ちゃん、バイバイ…」
アンジェラは第1王子の紅蓮の魔導師と、ホークアイは第2王子のリースと、ケヴィンは第3王子のシャルロットと結ばれました。
ウェンディも両親の古い友人イーグル、ヒース夫妻の許でエリオットと一緒に楽しく暮らしたそうです。
こうしてみんな幸せになったとさ。めでたしめでたし。
Fin
・
・
・
フフ…みんな幸せ…
他の奴らはそうかもな…
ぷちっ (何かが切れた音)
やっぱ、めでたくねぇーーーーっ!
俺は幸せになってねーぞ!! くそっ!
こうして世の理不尽さを感じたデュランは、パラディンからデュエリストにクラスチェンジして世界中で暴れ回ったとさ。
マナの女神のアホっ!
みんな大っ嫌ぇだーーーーーっ!!
END?
「“あてんしょん!”読んで、それでも止めずにここまで読んでくれたアンタしゃんはタダモノではないでちね? マナの女神しゃんでちょ?
面白かったでちか? シャルロットは楽しかったでちよ。
え? どこが、でちって?
んーと、そうでちねぇー。
シャルロットが聖剣の勇者としてヒュージドラゴンと雌雄を決するシーンでちかね」(※そんなシーンはありません)
「私はデュランを思いっきり苛められて楽しかったな♪」
「俺も! 不満があるとするならリース王子との…」
「きゃーーーーっ! ホークアイ! 止めて下さい!!」
「みんな! デュラン、来た!」
「うきゃ、ケヴィンしゃん、逃げるでち!!」
「おう!」
「トランスシェイプ! さ、リースも…」
「はい…」
「ちょっと! 私は?」
「……」(全員)
「いーわよっ、紅蓮魔から習った(脅し奪った、とも言う)空間転移の魔法使うわよ!」
ブゥゥゥンッ!(アンジェラ空間移動中)
「ホークアイ、四人で固まるのは危ないのではないですか?」
「そうだな…、じゃあ俺達あっちに行くな」
「気をつけてでちー」
「ホークアイ、リース、気をつけて!」
ダダダッ
「ちっ、逃がしたか…ふざけやがって!
えーい、腹が立つ!」
ダダダッ
……コソッ
「…シャルロット、もうデュランの気配消えた。出て大丈夫。」
「ほんとでちか?」
「うん。デュラン、北西に進んでいった」
「ほくせい?」
「北西、方角。こっち行った」
「方角なんてわからんでち。
アンタしゃんの中に磁石でもあるんでちか?」
「え? シャルロットわからないのか?
オイラ、湿度も温度もわかるぞ? 明日は晴れ」
「…ケヴィンしゃん解剖したら面白いでちょうね…」
ぶんぶん(ケヴィンが頭振る音)
「オイラ解剖しても、ちっとも面白くない。
解剖するならホークアイにしろ」
「それもそうでちね。
あの人の頭開いたらきっと口説き文句しか出ないと思うでち」
「オイラもそう思う。
ところでシャルロット、オイラ、疑問ある」
「何でちか? シャルロットのわかる範囲でならお答えするでちよ」
「ホークアイは結局、誰、好き? わからない。
アンジェラ主人公にして声かける。ホークアイ、口説く」
「ううう、…ホークアイの中身の話してても埒があかんでち。
結論はニキータもそれなりに奴の心を占めてたりする、でいいでち! ケヴィンしゃん、それでいいでちょ?」
「う、うん…」(本当にそれでいいのか?)
「それじゃ、オチに行くでちよ。
ライオン男(デュラン)はでちね、その後一人でブラックラビを倒してLV99になったそうでち」
「それだけ?」
「んーと、ケヴィンしゃんが産んだ子供は男の子で“ルガー”と名付けまちた。
ルガーは母親(?)と戦いたがる厄介な男になりまちた。
それにしてもルガーって何者なんでちか、アレは? クラス3の“朱雀飛天の舞”や“青竜殺陣拳”を放つし、そもそも違うクラスの技混ぜて平気で使うし、一体アンタしゃんは何のクラスでちかっとツッコミたいでち。ケヴィンしゃんより強い奥義使えてるのに、獣人王しゃんの特訓受けたかったとかホザいてまちたし。
考えてもみろでち、ケヴィンしゃんがビーストキングダム離れた頃はクラス1で“夢想阿修羅拳”しか使えてなかったんでちよ? いわばそれが獣人王しゃんの教えでち。クラス3の技使える奴がクラス1羨ましがってどうするんでちか?!!それとも実は“夢想阿修羅拳”が最高級の奥義なんでちかね…?誰か教えて欲しいでち。
…すみまちぇん。話が逸れたでちね。元に戻すでち。
それででちね、ちなみにどうちて一日でお腹がおっきくなったのかは…マナは偉大だとしか言えまちぇん!」
「…もういい」
「あや? そうでちか?
あ、もう帰らないといけない時間でち。シャルロットは帰るでち。バイバーイでち。
ほれ、ケヴィンしゃんも挨拶するでちよ!」
「う…」
「それじゃあ、いつの日か会おうでち!」
「あうう…それ、オイラのセリフ…」
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