「大丈夫かな、2人とも・・・」
 喧嘩していた張本人達と、彼女たちを追いかけていった2人が部屋から出て行ったことで、残されたケヴィンとシャルロットも、建物の廊下をとぼとぼと歩いていた。
 「だいじょうぶでちよ!デュランしゃんはともかく、ホークアイしゃんがうまーくリースしゃんをなだめすかすでちよ!」
 何故か自信満々のシャルロット。
 「喧嘩、よくない。リースもアンジェラも、早く、仲直りして欲しい。」
 俯いて、ケヴィンが言った。
 アンジェラもリースも皆大好きだから。だから、大好きな2人が喧嘩をしているのはとっても哀しい。でも自分にはどうする事も出来なくて、歯痒い。悔しい。
 「ケヴィンしゃん」
 不意に、シャルロットがケヴィンの指をきゅ、と握った。
 「こーゆーときは、おほしさまにおいのりするんでち。”アンジェラしゃんとリースしゃんがはやくなかなおりできまちように”って。このせんさいできよらかなシャルロットちゃんといっしょにおいのりすれば、いっぱつでおいのりがききまちよ!」
 やはり自信満々にシャルロットが断言した。
 そのあと、少し泣き笑いのような表情で言った。
 「ケヴィンしゃんはだれよりやさしいってこと、シャルはしってるでち。だから、おほしさまはぜったい、おねがいをかなえてくれるでちよ。そこにこのぜっせいのびしょうじょ、しゃるろっとちゃんがいれば、おににかなぼうでち!」
 「・・・うん!ありがと、シャルロット!」
 ケヴィンの笑顔が戻った事で、シャルロットもまたあの天真爛漫な笑顔を見せる。
 「ささ、『ぜんはいそげ』でち!そこのばるこにーでおいのりするでち!」
 「うん!」


 お星様、どうかアンジェラとリースが早く仲直りできますように。
 そして、また皆で一緒に、旅が出来ますように。


 夜も更けて。
 宿内を見回っていた宿屋の主人と女将が2階のバルコニーで寄り添うようにくうくう眠っている2人を発見した。
 「おやおや、風邪ひいちまうよ。」
 「休憩室、空けてやれ。」
 暖房が入ったままの休憩室に2人を寝かせ、毛布をかけてやる。
 「お休み。いい夢を見るんだよ」
 扉が、静かに閉じられた。

 明日もまた、皆が笑顔でいられますように。





FIN.





 以前片山さんから頂きました「大切なもの」、そのサイドストーリーとして頂きました。此処を御覧になっている方は本編の方も読まれたと思いますが、本編の方も温かく、ほのぼのとしてイイお話でしたよねv……しかし惜しむらくはケヴィンの台詞がヒトコトもなかったという事かと……(やだなあ冗談ですよ片山さん……フフフフフ)。
 無口なケヴィンはなかなか喋ってくれませんが、今回は沢山喋ってくれて嬉しいです。そうなのよーケヴィンったら誰よりも優しいのよー。シャルったら分かってんじゃん!そして、ケヴィンを慰めつつも自分を売り込む事を忘れない(笑)シャルロットも彼女らしいです。
 でもこのお話で一番好きなのは宿屋の主人と女将さん……ああイイ人達だ……。
 寄り添って眠るケヴィシャル。ケヴィシャル全開でした。幸せー。片山さん、どうも有り難うございました!



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